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不可読の空

空気が読めない。

それは自分でもわかっていて、気をつけているつもりなのだが。

自分の誕生日を祝うために準備してくれている場に、ひょっこり現れたりするのである。
その瞬間の空気ってのは、あったもんじゃない。

どうにか気づかないふりをするのだが、心の中は済まない気持ちでいっぱいだ。


このあいだもやってしまった。
ある駅のホーム。


「おとうさーん!!」

「おー、元気だったか。見ないうちに大きくなったなー!!」


この二人の、あいだにいちゃった。

察するに、久しぶりの親子の再会なのだろう。

通常なら、お父さんはその娘(想像だと、エリカという名前)をひょいと抱きかかえ、ぐるんぐるん回したくなることだろう。

でも僕がいちゃったので、そんなことができないのだった。

「知らない人を挟んでの感動の再会」は少しへんな気もする。
そんな混んでなかったし。

しかしそのとき、僕は激しく後悔した。

「ああなんでこういうときに、あいだにいちゃうかなー」

僕としては、あいだで息を殺している僕なんかは気にせず、ぐるんぐるん愛情スイングをやってもらって一向にかまわない気持ちだった。

それで1回転につき1回、もしくは2回蹴りを加えられようとも、その感動の再会に水を差すようならば、それをとがめる気も起こらないわ。


そんな僕の懺悔を知ってか知らずか、お父さんとエリカは楽しそうに何か話し込んでいた。

そして僕は少し持ち直した。
彼らのことを「空気読めないな」と感じるほど、僕は空気が読めないわけではないことがわかったから。

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