竹馬

よくわからない店がある。

なんとなく入店意欲を削ぐ。
雑貨屋らしいのだが、そんなたたずまいだ。


喫茶店でも行こうかとそこを横切るとき、前にいた二人の会話がなんとなしに耳に入ってきた。

彼女たちはその店頭にでもあったのだろうか。
「竹馬自転車」なる玩具に対して、こう言っていた。

「竹馬自転車ね、確か・・・」


僕はおどろいた。

「竹馬自転車」というのもよくわからないが、何よりも彼女には何かしらの竹馬自転車知識があることを示す「確か」が非常に気になった。


僕にはそれまで、致命的なまでに竹馬自転車についての知識はなかったのである。
そもそも何なんだ、竹馬自転車。

店先にあるのかもしれないが、竹馬自転車に食いつくのも悔しい。

しかしこれでは何ら好転しない。
今後の僕に、何かしらの形でそれが関わってこないとは言えない訳で、「あのとき竹馬自転車について少しでも知識を入れておけば」ということにもなりかねない。


「竹馬自転車ね、確か・・・」
前の女性はそう言ったのである。
つづきを聞き耳たてて、あとをつければいいか。


「竹馬自転車ね、確か竹馬と自転車のジョイント部分にはマー油を注すのよ」
軽く笑みを浮かべてそんなことが聞こえてきたら、知的な女性として恋をしてしまいそうだ。

いや、そもそも竹馬自転車について何かを知っているってだけですごい。


言ってみたいわー、「竹馬自転車ね、確か・・・」。




と、調べてみたところ、モヤさまで扱われていたらしい。
こ、恋が・・・。

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