押し引き

内外から同時にドアを開けようとする動作。
そこで押す力と引く力が等しくなり、「んっんっ」とドアを押し引きする彼らを「ドア越しのダンス」と呼ぼうか。

ガラスなどの「すけすけ部分」がないと向こう側に誰かいるのかもわからず、そもそもタイミングとして同時に開けようとするなんてことはあまり考えない。

しかも片方は「押す引く」を間違っていなくてはならず、「ドア越しのダンス」の難易度は高い。


このダンスの一番美しい終わり方は何だろうか。

ドアの開かないことを不思議に思ったお互いが鍵穴をのぞき、目が合う。
そんな終わり方だったら、僕ならすぐドアを押して相手の目にドアノブ直撃を食らわせて、そのあと終わり方を考えたやつの尻を蹴る。
ドアを引く側だったらすぐ引いて、のぞいたやつを叩く。
そうじゃないだろうが。
そして向こう側が見える鍵穴って、なんだよ。


お互いドアノブを回しすぎてノブがひきちぎれる。
これはなかなかいい。
ドアノブ跡の穴からお互いのぞきこむのも、これなら許せそうだ。

ドアが2つに裂けるのもいい。
なんか防犯にも今後役立てられそうだし、防火構造ですとも言えそうだ。
ドアが裂けてビルくずれるという展開もしみじみして良い。

ドアの開かないことに不信感を持ち、同時に鍵の修理屋さんを呼ぶのもファンタジー。
このとき、どうしてもドア内側にたまたまドアの修理屋さんがいたりすると、願ったりかなったりだ。
両側から修理にかかる修理屋さん。
そして片方が鍵を掛ける動作をするとき、もう片方が開ける動作をしてしまったりするのだ。
なんかすごい。

そのままダンスフロアで踊る二人の映像が流れるのもいい。
腑に落ちないなりに「ああそういうことですか」と妙に納得してしまったりするだろう。
「ああドアがなくなって、隔たりのなくなった二人はやっとダンスが踊れるようになりましたか」と。

二人はドアを開けるのをやめて去るが、ドアノブは両側ともべったべたというのもありだし、必死でドアを押し合う二人の彫像ができてもいい。


「ドアを押し引きするとどちらにも開かない事を、最初に証明した二人」
誰も試した事なかったんである。

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