道徳の証拠

「おかあさん。今日はわざわざお越しいただいてすいませんね」

「いいえそれは。ところで御用はどんなことなんでしょうか」

「うちの子が何かしましたでしょうか。学級崩壊のきっかけとか・・・?」

「いえいえ。そういうことではないんです。ただ少し気になる事がありまして」

「と、いいますと?」

「この間道徳の時間で「目標とする人」というのを生徒たちに書いてもらったんです」

「ええ」

「確かに、この年でちゃんとその人の名を挙げる事ができるのはすごくいいんですが」

「うちの子、誰を書いたんですか」

「目標の人、MIBなんですよ」

「MIB?」

「黒服の男で、映画にもなっています」

「詳細は省きますがオカルト事件のときに現れるとされていて、正体がわからない人たちだそうです。印象も残らないのだとか」
「そんな人が」

「そんな人が目標なんだというんです。ちょっと気になりましてね」

「はあ」

「何か心当たりありませんか、おかあさん」

「いいえ。ただ、わたしが言うのもなんですけど、本当に手のかからない子なんですよ」

「・・・ええ」

「だから、どこにいても何をしていても心配せずに済むといいますか、気にならないといいますか」

「・・・」

「ちょっと、心当たりはありませんね」

「・・・わかりました。とりあえず本日はもう結構です」

「あ、そうだ。今日帰ったらかずひろ君に宿題をわざと忘れるのはやめなさいと言っておいてください」

「彼は定期的に宿題を忘れるんですが、どうもわざとっぽいので」

「あら。だってよ、かずひろ」

「着々!!」

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