効果音

「彼の乗っているエレベーターがこの階につき、戸が開いた」

「がらがらがら」

今聞いていた何かで、実際そう言われていた。

今のがらがらがらも、あるいは電話の「ジリリリリーン」。
灯りを消すとき、紐を引っ張る仕草など、昭和を惜しんだ「面白いでしょポイント」を仕込むのは、既に行われていることも手伝って、なかなか勇気のいることだ。

しかし僕はこれに弱く、楽しくなってしまう。

いつだって戸はがらがらがらって音を出してほしいし、電話全般は黒電話を師と仰いでもらいたい。
スイッチのついた機器は全て紐を引っ張る式の方が面白いじゃないか。



今後これらが取って替えられるとすると、どうなるのだろう。

現在の多くの戸は音もなく開閉するし、電話が発する音は多様だ。
スイッチを入切する動作は指先一つだからこじんまり。


残念だ。
新しい音、雰囲気を表す言葉を作るのにも、それではすぐ足らなくなるだろうし、そもそもそれに汎用性を持たせるには人の認識能力にも多様性がありすぎている。

これらのものには将来「がらがらがら」や「ジリリリリーン」以上の表現アイテムが手に入れられる可能性はないのである。


この残念さは、ちょうど扉や電話に相当するもの、手動で操作する必要のある機器が全くなくなる未来まで、続く。

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