了承の秋

携帯電話を変えて少したつ。

今度はエクスペリアの小さいやつで、日頃よりケータイはでかいな、と思っていた自分にとっては最適と思える。
そう考えたらいてもたってもいられず、店先のモデルも余り見ないうちに、まあ小さいのならこれにするかと選んだのだ。

こういう「これ買うか」と決めたときの僕ほど、いさぎよいことになっている人間はあまりいないような気がする。
というのも、何でも「はいはい」言ってしまうから。

いつもなら人が注文している間の時間まで利用して何を食べるか熟考するし、基本的に優柔不断で一芸入試を受けたくらいであるから、要はいさぎよくない。

しかし決まってしまえば早い。

ぜんぜん知らないなんとかプランもすいすい加入する。
もちろん店員さんに全幅の信頼を寄せているのである。

よくわからない月額100円くらいの何かも、全く使わないだろうがすいすい加入する。
料金から「これはいかん」と判断したとき、やめればいいのだ。

何か資料が出てきた。
一応目を通す風にするが、基本は「はいはい」だ。

よくないとは思っているのだが、まあ自分の使うケータイだし、まあよかろう。

「中身の確認を行いますが、指紋がすごく付くことがありますので了承ください」
こんなことは言われていないが、僕としてはこういうの、全く問題ない。
躊躇せず「はいはい」言う。

「ディスプレイをつばでお拭きいたしましょうか」
すっぱい臭いがするのなら嫌だが、このくらいですら、あとでどうにでもなると考える。
「はいはい」

「エロサイトをブックマークに登録しておいてもよろしいでしょうか」
これはいやかな。
でも流れ上、「はいはい」。

「通話口にカラスミをすりこんでおきます」
「はいはい」。

「とりあえず、飲んだらすぐ死ぬことで有名な毒薬をグラスで提供していますが、如何致しましょう」
「はいはい」。





考えのない承諾は、時として毒薬を置かれる、という事件になりかねないのである。
しかも毒薬、ダブルだ。

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